modern-utopia.net In the beginning was the name, where ideas take shape.
読書記録

ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実 - プチ鹿島

2026-05-10

『川口浩探検隊』 この名前を初めて聞いたのは、中学の社会の先生からだった。 授業の合間に、この番組について面白おかしく話していたのが印象に残っている。

人里から離れて暮らしている現地民に腕時計の日焼けがあるとか。 これから、未踏の洞窟に入るというナレーションが流れている中で、カメラマンが洞窟の中から川口浩を映しているとか。

変な番組だというのはわかるが、当然見たことがないのでピンとこない。 当時の私は、変な番組ということ以上の感想は持てなかったが、実際に見たわけでもないテレビ番組の話を今の今まで覚えているというのは、先生の話し方の面白さもあるんだろうが、エピソードのインパクトの強さもあったかもしれない。

とにかく名前だけは憶えていたので、この本を見つけた瞬間に思わず手に取ってしまっていた。

この本によると番組は1977~1985年にテレ朝の水曜スペシャルという枠の中で、不定期に放送していたらしい。 予算がかかりそうなド派手な番組だが、放送はバブル前だったのか。テレビ局の勢いを感じる。

本は、筆者の川口浩探検隊思い出、そしての関係者の捜索とインタビューで構成されている。 読み終わって思ったのは、製作スタッフが視聴者を楽しませようとする気持ちの強さは相当のものだったんだろうということだ。 そして、その情熱と切り離せないのが、この番組の代名詞となった「ヤラセ」だった。 本のタイトルは確信をついている。

この番組は今ではフェイクドキュメンタリーやモキュメンタリーと呼ばれるような、フィクションを現実に見せかけて表現するものの走りだった。 関係者もドラマを取るのと同じように作っていたと語っている。 そして、テレビ番組で映画のインディー・ジョーンズを目指していたと。

関係者によると番組終了後にネタバラシ特番の企画があったらしい。ロケの様子と完成した後の映像を公開してしまうという。 川口さんの死去によって実現しなかったらしいが、とても面白そう。ぜひ見たかった。

読書期間:2026/4/17~5/7